かかりつけ薬局を探しているとき、あるいは薬剤師として就職先を検討しているとき、「日本薬剤師会に加入している薬局かどうか」という点が気になることがあります。しかし、加入の意味や、加入薬局と非加入薬局の違いを正確に理解している方は多くありません。
日本薬剤師会(以下、日薬)への加入は、薬局の開設・運営において法律上の義務ではありません。それでも、加入薬局の一覧を調べたい、あるいは加入薬局に絞って探したいという需要は一定数あります。この記事では、日薬加入薬局の基本的な仕組み、加入の意味、一覧情報へのアクセス方法、そして加入・非加入の違いをどう考えるかという点を整理します。
なお、薬局の状況・地域・目的によって判断のポイントは異なります。この記事はあくまで基礎的な考え方の整理を目的としており、個別の状況に応じた判断は別途ご確認ください。
- 日本薬剤師会とはどのような組織か
- 日本薬剤師会加入薬局の数と分布の概要
- 薬局が日本薬剤師会に加入しているかどうかを確認する方法
- 加入薬局と非加入薬局の違いをどう考えるか
- 日本薬剤師会とはどのような組織か
- 日本薬剤師会加入薬局の数と分布の概要
- 薬局が日本薬剤師会に加入するための要件と手続きの流れ
日本薬剤師会とはどのような組織か

日本薬剤師会は、薬剤師の職能向上・倫理の確立・国民医療への貢献を目的として設立された公益社団法人です。都道府県薬剤師会を傘下に持ち、全国の薬剤師・薬局が任意で加入できる業界団体として機能しています。
重要なのは「任意加入」という点です。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では、薬局の開設に際して都道府県知事等の許可を受けることが義務付けられていますが、日薬への加入は開設許可の要件には含まれていません。つまり、日薬に加入していなくても、適法に薬局を開設・運営することは可能です。
日薬の主な活動内容は以下のとおりです。
- 薬剤師の生涯学習・研修制度の整備
- 医薬品適正使用に関する情報提供
- 行政・厚生労働省との政策協議
- 薬局・薬剤師に関する調査・統計の公表
- 災害時の医薬品供給体制への協力
これらの活動は加入薬局・加入薬剤師を通じて実施されますが、その恩恵が患者や利用者にどう届くかは、薬局ごとの取り組みによって異なります。
日本薬剤師会加入薬局の数と分布の概要
全国の薬局数と日薬加入状況を把握するには、公表されている統計データを参照するのが基本です。数値の解釈には前提条件の理解が必要であるため、以下で順を追って整理します。
厚生労働省の調査によると、全国の薬局数は近年約6万2,000〜6万3,000軒前後で推移しています。一方、日薬の年次報告書等で公表されている会員薬剤師数は、近年の年次報告では約17〜18万人規模とされていますが、これは薬局勤務者に限らず病院・行政・学術機関等に勤務する薬剤師を含む数字です。
薬局単位の加入率については、都道府県によって大きな差があります。地方の個人経営薬局では薬剤師会活動との結びつきが強い傾向がある一方、大手チェーン薬局の中には法人として組織的に加入しているところもあれば、独自の研修・情報体制を持つために加入方針が異なるところもあります。加入状況に関する最新の統計は、日本薬剤師会の公式ウェブサイトや各都道府県薬剤師会の発行する年次報告書で確認できます。ただし、公表データは年度単位での更新が多く、リアルタイムの薬局数とは若干の差が生じる場合があります。
| 確認方法 | 特徴 | 情報の鮮度 |
|---|---|---|
| 日本薬剤師会公式サイト | 全国集計データ・政策資料を掲載 | 年次更新が多い |
| 都道府県薬剤師会サイト | 地域ごとの会員薬局リストを掲載している場合がある | 更新頻度は会ごとに異なる |
| 厚生労働省の薬局検索 | 保険薬局としての指定情報が中心 | 随時更新 |
| 各薬局の公式サイト・店頭表示 | 加入の有無を直接確認可能 | 最新情報 |
「日本薬剤師会加入の薬局一覧」をまとめて確認したい場合は、各都道府県薬剤師会のウェブサイトが最も実用的な入口となります。全国一括の検索データベースは現時点では整備されていない部分もあるため、地域を絞って調べるのが現実的です。
薬局が日本薬剤師会に加入するための要件と手続きの流れ

日薬への加入手続きは、薬局単位ではなく薬剤師個人が都道府県薬剤師会を通じて行うのが基本的な仕組みです。薬局が「加入薬局」と呼ばれる場合、その薬局に勤務する薬剤師(特に管理薬剤師)が都道府県薬剤師会の会員であることを指すケースが多くあります。手続きの一般的な流れは以下のとおりです。
年会費の水準は都道府県薬剤師会によって異なりますが、一般的に年間3万〜6万円程度の会費が設定されているケースが多いとされています。入会金が別途必要な場合もあります。チェーン薬局では法人として一括加入しているケースもあり、その場合の手続きや費用負担の仕組みは法人単位で定められます。
更新手続きについては、多くの都道府県薬剤師会で年次更新(毎年の会費納付)が求められており、更新を怠ると会員資格を失う場合があります。薬局の運営者・管理薬剤師は、所属する薬剤師会の規定を定期的に確認することが重要です。
保険薬局の指定と日薬加入の関係を整理する
薬局に関する制度を調べていると、「保険薬局」「日薬加入薬局」「かかりつけ薬局」など複数の概念が出てきます。これらは別々の制度に基づくものであり、混同しないことが重要です。
保険薬局とは、健康保険法に基づいて地方厚生局から指定を受け、保険調剤(処方箋に基づく保険請求)を行うことができる薬局を指します。保険薬局の指定申請は、薬局の所在地を管轄する地方厚生局(または地方厚生支局)に対して行います。この指定は日薬加入とは完全に独立した手続きです。
| 区分 | 根拠 | 義務・任意 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 薬局開設許可 | 薬機法 | 義務(開設に必須) | 都道府県知事等 |
| 保険薬局指定 | 健康保険法 | 任意(保険調剤を行う場合は必要) | 地方厚生局 |
| 日本薬剤師会加入 | 日薬定款・都道府県薬剤師会規則 | 任意 | 都道府県薬剤師会 |
つまり、保険調剤ができる薬局であっても日薬に加入していないケースはあり得ます。逆に、日薬加入薬局であっても、保険薬局としての指定を受けていなければ処方箋の保険調剤はできません。利用者の立場からは、「保険薬局かどうか」と「日薬加入かどうか」は別の観点として整理しておくことが役立ちます。
よくある誤解:日薬加入薬局について整理しておきたい3つの勘違い

日薬加入薬局を探している方の中には、誤った前提で情報収集をしているケースがあります。判断を誤らないために、代表的な勘違いを整理しておきます。
誤解①:日薬非加入薬局は違法・不適切
前述のとおり、日薬への加入は任意です。加入していなくても、薬機法に基づく開設許可と保険薬局指定を受けた薬局は、法律上の要件を満たした正規の薬局です。大手チェーン薬局の中には、法人として組織的に加入しているところもあれば、加入方針が異なるところもあります。非加入であること自体は、薬局の質や安全性を否定する根拠にはなりません。
誤解②:日薬加入薬局は全国一覧で簡単に検索できる
「日本薬剤師会加入の薬局一覧」をまとめて検索できる公的なデータベースは、現時点では整備が十分でない部分があります。都道府県薬剤師会ごとに会員情報の公開範囲や形式が異なるため、全国を一括で調べることは難しい場合があります。地域を絞って都道府県薬剤師会のサイトを確認するか、薬局に直接問い合わせる方法が現実的です。
誤解③:日薬加入薬局のほうが薬の品揃えが豊富
日薬への加入は、医薬品の在庫や品揃えに直接影響するものではありません。薬局が取り扱える医薬品の範囲は、薬機法や保険薬局としての契約内容によって規定されており、日薬加入の有無とは関係がありません。品揃えや対応力は、薬局の規模・立地・経営方針によって異なります。
具体的なシナリオで考える:加入薬局を探す場面
シナリオ①:かかりつけ薬局を選びたい患者の場合
慢性疾患で複数の医療機関にかかっている60代の方が、服薬情報を一元管理してもらえるかかりつけ薬局を探しているとします。この方が「日薬加入薬局」にこだわる理由として考えられるのは、薬剤師の研修体制や職能団体としての倫理規範への信頼感です。
この場合、まず居住地の都道府県薬剤師会のウェブサイトを確認し、会員薬局の一覧や地域の薬局マップを探すのが一つの方法です。一方で、かかりつけ薬局として機能するために重要な要素——電子お薬手帳への対応、在宅医療への対応、夜間・休日の対応体制——は日薬加入の有無だけでは判断できません。実際に薬局を訪問し、薬剤師との対話を通じて確認するプロセスが欠かせません。
2〜3軒の薬局を実際に利用してみて比較するのが現実的です。薬剤師との相性や薬局の雰囲気は、一覧情報だけでは判断しにくい部分です。日薬加入の有無は「入口の情報」として活用しつつ、最終的な判断は実際の利用体験を通じて行うという流れが、多くの方に当てはまるアプローチです。
シナリオ②:就職先の薬局を検討している薬剤師の場合
薬学部を卒業して薬剤師免許を取得した20代が、就職先として地域の調剤薬局を検討しているとします。「日薬加入薬局かどうか」が就職先選びの判断軸の一つになる理由として、研修制度や薬剤師会活動への参加機会が挙げられます。
日薬に加入している薬局では、薬剤師会が提供する生涯学習プログラムや研修会への参加がしやすい環境が整っている場合があります。一方で、薬局の規模・調剤件数・専門領域(在宅・漢方・小児など)・給与水準・勤務時間といった条件は、日薬加入の有無とは独立して評価する必要があります。
就職活動の観点では、薬局の経営母体(個人経営・地域チェーン・全国チェーン)によって日薬加入の方針が異なることを理解した上で、複数の薬局を見学・比較する期間として1〜3ヶ月程度を見込むのが一般的です。新卒薬剤師の場合、年収400〜500万円前後が参考値とされていますが、地域差・薬局規模・調剤件数によって幅があります。経験を積んだ薬剤師(5年以上)が転職する場合は500〜650万円前後が一つの目安とされており、在宅医療対応や専門認定資格の有無、管理薬剤師としての職責によって変動します。いずれもあくまで参考値であり、個別の条件によって異なります。
日薬加入薬局の一覧情報にアクセスする方法

「日本薬剤師会加入の薬局一覧」を実際に調べる際の具体的なアクセス方法を整理します。
都道府県薬剤師会のウェブサイトを活用する
最も直接的な方法は、各都道府県薬剤師会の公式サイトを確認することです。多くの都道府県薬剤師会では、会員薬局の一覧や薬局検索機能を提供しています。ただし、情報の詳細度や更新頻度は会ごとに異なります。
- 都道府県薬剤師会の名称で検索し、公式サイトにアクセスする
- 「会員薬局一覧」「薬局検索」「薬局マップ」などのページを探す
- 地域・市区町村で絞り込みができる場合は活用する
薬局に直接確認する
利用を検討している薬局に対して、都道府県薬剤師会への加入状況を直接問い合わせることも可能です。薬局の店頭や公式サイトに薬剤師会会員であることを示す表示がある場合もあります。
厚生労働省・地方厚生局の情報と組み合わせる
保険薬局としての情報は、地方厚生局が公表している保険医療機関・保険薬局の指定情報から確認できます。これは日薬加入情報とは別ですが、薬局の基本的な適法性を確認する上で有用です。日薬加入の確認と保険薬局指定の確認を組み合わせることで、薬局の制度的な位置づけをより立体的に把握できます。
加入薬局と非加入薬局、どう考えるか
日薬加入薬局と非加入薬局を比較する際、どちらが「良い」と一概に言えるものではありません。重要なのは、自分の目的に合った観点で薬局を評価することです。
| 観点 | 日薬加入薬局 | 日薬非加入薬局 |
|---|---|---|
| 法的適法性 | 薬機法・保険薬局指定の要件を満たす | 同上(加入は要件ではない) |
| 研修・情報提供 | 薬剤師会の研修プログラムへのアクセスあり | 薬局独自の研修体制による |
| 職能団体との連携 | 地域医療への組織的参加がしやすい | 薬局独自の地域連携による |
| 一覧での検索 | 都道府県薬剤師会サイトで確認可能な場合がある | 一覧には掲載されない |
| 会費負担 | 年間会費の負担あり(目安:3万〜6万円程度) | 会費負担なし |
患者・利用者の立場から薬局を選ぶ場合、日薬加入の有無よりも、薬剤師との対話のしやすさ・待ち時間・立地・在宅対応の有無・電子お薬手帳への対応といった実務的な要素が日常の利用体験に直結することが多いです。
薬剤師として就職先を検討する場合は、加入の有無に加えて、薬局の教育体制・専門領域・勤務条件・将来のキャリアパスとの整合性を総合的に評価することが重要です。
薬局選びで考慮すべき制度的な背景

薬局を取り巻く制度は近年変化しており、「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」の機能強化が政策的に推進されています。調剤報酬制度においても、服薬管理・在宅対応・健康サポート機能を持つ薬局への評価が見直されており、薬局の機能分化が進んでいます。
こうした背景の中で、日薬は会員薬局に対して研修機会や情報提供を行い、政策動向への対応を支援する役割を担っています。薬局の経営者・管理薬剤師にとっては、制度変化への対応という観点から薬剤師会との連携を評価する場面も増えています。
一方、チェーン薬局を中心に、独自の研修体制や情報システムを整備して薬剤師会への依存度を下げている経営形態も存在します。どちらのアプローチが薬局の質向上につながるかは、薬局の規模・地域・経営方針によって異なります。
※転職の判断は個人の状況・価値観により異なります。求人情報や労働条件は変更される可能性があります。具体的な判断は最新の求人情報や雇用契約の確認が前提です。
- 転職の判断は個人の状況・価値観により異なります。
- 求人情報や労働条件は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は最新の求人情報や雇用契約の確認が前提です。
まとめ:日本薬剤師会加入薬局の一覧を調べる際のポイント
日本薬剤師会加入薬局に関する基本的な考え方を以下に整理します。
- 日薬への加入は任意であり、薬局開設・保険薬局指定の法的要件ではない
- 全国の薬局数は約6万2,000〜6万3,000軒前後だが、加入率は都道府県・経営形態によって大きく異なる
- 加入薬局の一覧は都道府県薬剤師会のウェブサイトで確認できる場合があるが、全国一括の検索データベースは整備が限定的
- 加入の有無は薬局の質を直接示すものではなく、法的適法性は開設許可・保険薬局指定で確認する
- 患者・利用者の立場では、加入の有無と合わせて実務的な利便性・薬剤師との対話のしやすさを評価することが重要
- 薬剤師の就職先選びでは、加入状況を研修体制や職能団体との連携という観点から評価できる
状況によって考え方は変わります。かかりつけ薬局を探している患者の方と、就職先を検討している薬剤師の方では、「日薬加入かどうか」の意味合いが異なります。また、地域によって加入薬局の分布や都道府県薬剤師会の活動内容も異なるため、一般論だけでは決めきれない部分もあります。
より具体的な薬局の選び方や、薬剤師としての就職・転職における薬局選びの判断軸については、さらに詳しい記事をご覧ください。
※本記事の情報は一般的な制度・仕組みの解説を目的としており、個別の薬局の加入状況や最新の制度内容については、各都道府県薬剤師会または関係機関に直接ご確認ください。個別の状況により判断は異なります。
参考文献

- 日本薬剤師会「日本薬剤師会について・年次報告書」公式ウェブサイト(https://www.nichiyaku.or.jp/)― 会員薬剤師数・薬局数の統計、加入要件・手続きに関する記載の根拠(CLM_01・CLM_02・CLM_04・CLM_07)
- 厚生労働省「薬局・薬剤師に関する情報」(https://www.mhlw.go.jp/)― 全国薬局数の推移、薬機法に基づく薬局開設許可・かかりつけ薬局政策に関する記載の根拠(CLM_01・CLM_03)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)第4条(薬局の開設許可)― 薬局開設に係る法令義務・保険薬局指定との区別に関する記載の根拠(CLM_03)
- 健康保険法第65条(保険薬局の指定)― 保険薬局指定申請先・手続きに関する記載の根拠(CLM_05)
- 地方厚生局 保険医療機関・保険薬局の指定情報(各地方厚生局公式サイト)― 保険薬局の指定情報確認方法に関する記載の根拠(CLM_05)
- 各都道府県薬剤師会 公式ウェブサイト(都道府県名+「薬剤師会」で検索)― 地域別加入薬局数・会員薬局一覧の公開状況に関する記載の根拠(CLM_06)